子どもの耳掃除はどこまで?家庭でできる範囲と耳鼻科を受診する目安

早坂 あかね 院長
医学監修

早坂 あかね 院長

耳鼻咽喉科専門医

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執筆:石田 和也 医師(医承会グループ理事長)執筆者情報

子どもの耳垢が見えると、「取ってあげたほうがよいのか」「嫌がって動くけれど、このまま掃除してもよいのか」と迷うことがあります。耳の中をきれいにしようとして、かえって傷つけてしまわないか心配な保護者の方もいるでしょう。

家庭では、耳垢を奥まで取り切ることを目標にしません。耳の入り口付近の手入れにとどめ、子どもが動く、嫌がる、安全に触れられないときは中止することが基本です。この記事では、家庭でできる範囲と、耳鼻科へ相談する目安を整理します。

耳掃除のあとに出血した、急に聞こえにくくなった、強い痛みやめまいがある場合は、通常の耳垢相談とは分けて考えてください。

耳の中へ綿棒などを入れ直さず、症状を医療機関へ伝えて相談しましょう。受診を急ぐ症状については、後の「耳掃除後の出血・外傷、急な聞こえの変化があるとき」で説明します。

耳垢は、少し見えるだけで取り除く必要がある?

耳垢は、耳の穴から鼓膜までの通り道である外耳道の分泌物に、古い皮膚やほこりなどが混ざったものです。耳垢には耳の皮膚を保護する働きがあり、耳には耳垢を自然に外へ運ぶ仕組みも備わっています。多少の耳垢が見えるだけで、家庭で無理に取る必要はありません。[1]

「残っている耳垢を全部取らなくては」と考えて、綿棒や耳かきを奥へ入れることは避けてください。耳垢を押し込んだり、耳の皮膚や鼓膜を傷つけたりするおそれがあります。気になる耳垢が取りづらい場合は、家庭で取り切ろうとせず、耳鼻咽喉科で相談できます。[1・2]

家庭では、耳の入り口付近を軽く拭く程度に

手入れをする場合も、耳の入り口付近に出ている汚れや、入浴後に耳の周りに残った水分を軽く拭く程度にとどめましょう。「目で見えるから大丈夫」と考えて、耳の穴の奥へ綿棒や耳かきを差し込まないことが大切です。[1・2]

取れにくい耳垢を何度もこすったり、奥にある耳垢を追いかけたりする必要はありません。強くこすることや頻繁な掃除は、耳の皮膚を傷つける原因になります。[2]

家庭での入り口付近の手入れと、医療機関で診察のうえ必要に応じて行う耳垢の処置は、同じものではありません。家庭の手入れだけで耳の中の状態を確かめたり、処置の必要性を判断したりしようとせず、気になる点を診察で相談してください。

毎日・毎週など、決まった頻度で掃除したほうがよい?

すべての子どもに「何日に1回」と同じ間隔を当てはめるのではなく、無理な掃除をしないことを優先しましょう。耳垢が自然に出る仕組みがあるため、定期的に奥まで掃除する必要はありません。耳垢がたまっているように見える、手入れの仕方が分からないときは相談してください。[1・2]

耳の病気で通院中の場合は、担当医から受けている指示を優先します。診察後に次回の確認を案内されたときは、その理由や受診の目安も確認しておきましょう。

動く・嫌がるときは、押さえつけて続けない

子どもは、説明を聞いて落ち着いていても、予想しない動きをすることがあります。耳掃除中に子どもの手が保護者の手に当たったり、兄弟姉妹やペットがぶつかったりして、耳の奥を傷つける事故も報告されています。[2・3]

手入れの前には、これから何をするか短く伝えます。それでも泣く、顔を背ける、体を動かすなど、安全に触れられない様子があれば、いったん中止してください。保護者が押さえつけて耳垢を取ろうとするのではなく、家庭では無理に続けないことが大切です。[2]

また、周囲の人や物と接触しやすい場所や、子どもが歩き回ったり遊んだりしている最中は避けましょう。綿棒や耳かきは、使用後すぐに子どもの手の届かない場所へ片づけてください。大人が使っていないときでも、子どもが自分で耳に入れてけがをすることがあります。[2・3]

「もう少しで取れそう」という場面でも、安全にできないなら続ける必要はありません。耳垢が気になることや、家庭では嫌がって触れられないことを、受診時にそのまま伝えましょう。

通常の耳垢相談を考えたいとき

痛みなどがなくても、耳垢が気になる、取りづらい、家庭で安全に手入れができないときは、耳鼻咽喉科へ相談できます。耳垢だけが原因かどうかは、耳の中を診察して確認する必要があります。[1]

次のような変化がある場合も、耳垢のせいと決めつけず相談してください。

気になる様子相談するときに伝えたいこと
呼びかけに反応しにくい、聞き返しが増えたいつからか、急な変化か、普段とどう違うか
テレビなどの音量を上げるようになった気づいた時期と、ほかに聞こえの変化があるか
耳を触る・かゆがる様子が続く痛み、耳だれ、においなどもあるか
耳垢が気になるが、子どもが嫌がり安全に触れない家庭で無理に取り除こうとしていないか、以前の耳の病気や処置

耳を触るしぐさだけで、耳垢の詰まりや中耳炎と判断することはできません。また、子どもは聞こえにくさを自分から説明しない場合もあります。保護者が気づいた普段との違いを伝えてください。急に聞こえが変わったときは、次の受診を急ぐ場合の案内を優先します。[4]

耳掃除後の出血・外傷、急な聞こえの変化があるとき

耳掃除のあとに血が付いた、耳を傷つけたかもしれない

耳掃除のあとに出血した場合は、傷を確かめようとして綿棒や耳かきを入れ直さず、医療機関に相談してください。耳の奥へ器具が入った状況や、痛み、聞こえの変化があるかを伝えましょう。

出血が続く、強い痛みがある、聞こえが急に変わった、めまい・ふらつき・嘔吐がある場合は、通常の耳垢相談として予約日まで待たず、速やかに医療機関へ相談してください。

耳掃除中の事故では、鼓膜や耳の奥を傷つけた事例も報告されています。[2]

綿棒や耳かきの一部が耳の中に残った場合も、家庭で別の器具を使って取り出そうとせず、耳鼻咽喉科を受診しましょう。奥へ押し込むおそれがあります。[2]

耳掃除をしていなくても、急に聞こえにくくなった

聞こえが急に変わったときは、耳垢や水のせいだと決めつけず、速やかに耳鼻咽喉科へ相談してください。急な難聴では、早期の診察が大切です。耳が詰まった感じや耳鳴り、めまいを伴う場合もあります。[4]

耳閉感や急な聞こえの変化については、「耳が詰まった感じがするのはなぜ?耳鼻科を受診する目安と急ぐ症状」でも説明しています。

耳の痛み・耳だれ・発熱がある

これらは、耳掃除だけで対応しようとせず、耳の症状と子どもの全身の様子を医療機関へ伝えてください。強い痛みやぐったりした様子がある、急に悪化しているときは、通常の予約や受付時間を待たず相談することが大切です。

中耳炎が心配なときに受診まで避けたい対応や、医師に伝える情報は、「子どもの中耳炎を疑うとき、耳鼻科の受診前に伝えたいこと」にまとめています。症状だけで中耳炎と自己判断せず、診察で確認してください。

受診するときに伝えること

耳垢のことが気になった経緯と、分かる範囲の症状を伝えると、相談の内容を整理しやすくなります。

  • いつから気になっているか、右・左・両耳のどこか
  • 聞こえ、痛み、かゆみ、耳だれ、出血などの変化
  • 耳掃除をした場合は、いつ・何を使い、どのようなことが起きたか
  • これまでの耳の病気、耳の処置、通院の有無

すべてを記録したり、耳の奥を確かめたりしてから受診する必要はありません。とくに外傷や急な聞こえの変化がある場合は、記録のために相談を遅らせないでください。

駒込駅前耳鼻咽喉科クリニックの診療については診療案内、持参物や来院の流れは初診の方へをご覧ください。所在地・経路はアクセス、診療時間や休診日は公式トップページでご確認いただけます。

通常の耳垢相談で来院を希望する方は、Web予約をご利用いただけます。

よくある質問

耳垢が少し見えているだけでも、必ず取るべきですか?

多少の耳垢であれば、家庭で無理に取る必要はありません。耳垢には耳を保護する役割があり、自然に外へ運ぶ仕組みもあります。見える耳垢をすべて取り切ろうとせず、気になる場合は耳鼻咽喉科で相談してください。[1]

子どもが嫌がるので、家族に押さえてもらって掃除してもよいですか?

嫌がったり動いたりして安全に触れられないときは、中止してください。押さえて耳垢を取り切ることより、家庭で無理な掃除をしないことを優先します。取りづらい耳垢のことや、家では安全に触れられないことを医療機関へ伝えましょう。[2]

親が耳掃除をするのは、何歳までですか?

年齢だけで家庭での耳掃除の必要性を決めるものではありません。耳の奥へ器具を入れず、無理に取り除こうとしないという考え方は同じです。本人や保護者が安全に手入れできない場合や、聞こえなどが気になる場合は相談してください。[1・2]

痛みがなくても、耳垢のことを相談できますか?

耳垢が気になる場合は、痛みがなくても耳鼻咽喉科へ相談できます。ただし、聞こえ方の変化を「痛くないから大丈夫」「耳垢だけだろう」と判断しないようにしましょう。とくに急に聞こえにくくなった場合は、速やかな相談を優先してください。[1・4]

家庭では、取り切ることより安全を優先しましょう

子どもの耳垢は、家庭で奥まで取り除く必要はありません。手入れは入り口付近を軽く拭く範囲にとどめ、動く・嫌がるときは中止してください。通常の耳垢の心配と、耳掃除後の出血や急な聞こえの変化を分け、気になる症状があるときは医療機関へ相談しましょう。

参考資料

  1. 耳垢|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
  2. Vol.620 耳掃除中のけがに注意!|消費者庁
  3. 耳かき中の事故に注意!|東京消防庁
  4. 耳の病気|日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

執筆: 石田 和也(医承会グループ理事長)

監修: 早坂 あかね(院長)