症状
声がれ・声のかすれが続くとき|受診の目安と声帯の検査
声がれ(嗄声)は、声がかすれる、出しにくい、高さや大きさが変わるなど、いつもと違う声の状態です。風邪や声の使い過ぎで一時的に起こることもありますが、長引く場合は声帯ポリープ・声帯結節、声帯麻痺、喉頭の病気などが隠れていることがあります。声だけで原因を決めず、続いている期間、呼吸・飲み込みの症状、首のしこり、喫煙歴、手術や挿管の後かどうかを合わせて確認することが大切です。
呼吸・飲み込み・ことばに異常がある場合は救急要請を
声がれに次の症状を伴う場合は、空気の通り道が狭くなっている病気、重いアレルギー反応、脳卒中など、緊急性の高い状態の可能性があります。予約操作や通常外来を待たず、119番へ連絡してください。
- 息が苦しい、呼吸のたびにゼーゼー・ヒューヒューと音がする
- 強いのどの痛みに、唾液も飲み込めない・よだれが出る・声がこもる症状を伴う(呼吸が苦しくなくても)
- 唇や顔が腫れる、じんましんが広がるなどの症状とともに息苦しい
- 唇の色が紫になる、意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が悪い
- 声のかすれではなく、ろれつが回らない、顔や片側の手足が動かしにくい症状が突然現れた
呼吸が保たれ、唾液は飲み込める場合でも、食事や水分をとれないほどの強いのどの痛みや、急に悪化する飲み込みにくさがある場合は、当日中に医療機関を受診してください。
声がれ(嗄声)とは
声がれは、声の質・高さ・大きさ・出しやすさが普段と変わった状態です。かすれ声、弱い声、低い声、声が途切れる、長く話すと出しにくいなど、感じ方は人によって異なります。
声は、喉頭にある左右の声帯が息の流れで振動して生まれます。声帯の腫れや傷、動きの左右差、粘膜の病変などがあると声が変わります。症状だけで原因を確定することはできないため、必要に応じて声帯を直接確認します。
- 声がかすれる、ガラガラする
- 声が出しにくい、弱くなった
- 高い声・低い声が出しにくい
- 話していると声が途切れる、疲れる
- 風邪が治ってものどや声の違和感が残る
- 声を使ったあとから声が戻らない
- むせる、飲み込みにくい症状もある
声がれで耳鼻咽喉科を受診する目安
風邪に伴う声がれは、風邪の改善とともに軽くなることがあります。ただし、長引く声がれや、重い病気を疑う所見がある場合は、期間だけで様子を見続けず耳鼻咽喉科で喉頭を確認することが大切です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、声がれが長期間続く場合は声帯ポリープ・声帯結節、喉頭がん・下咽頭がん、声帯麻痺などを考える必要があるとして、早めの耳鼻咽喉科受診を案内しています。AAO-HNSの診療ガイドラインでは、声の異常が4週間以内に改善しない場合、または重い原因が疑われる場合は期間にかかわらず、喉頭の観察を行うか実施できる医療機関へ紹介することを推奨しています。
4週間を待たず、早めに耳鼻咽喉科へ相談する目安
次に当てはまる場合は、4週間を待たず、できるだけ早く耳鼻咽喉科へご相談ください。呼吸困難など上の救急サインがある場合は、外来を待たず119番へ連絡してください。
- 首にしこりがある、痰に血が混じる
- 飲み込みにくい、飲み込むと痛い、原因不明の体重減少がある
- 喫煙歴があり、これまでにない声がれが続く
- 頭・首・胸の手術や気管挿管のあとから声が変わった
- 短期間でも、急に声が出しにくくなった、徐々に悪化している、むせや飲み込みにくさを伴う
- 仕事や日常生活で声を使うため、声の変化による支障が大きい
ほかの警戒症状がなくても、4週間を目安に受診する場合
上の項目に当てはまらなくても、声がれが4週間を目安に改善しない場合は、耳鼻咽喉科で喉頭を確認してください。
受診時に伝えると役立つこと
声の変化は診察時の状態だけでなく、始まり方や日内変動、声の使い方、伴う症状が診断の手がかりになります。可能な範囲で次を確認しておいてください。救急サインがある場合は、記録のために連絡を遅らせないでください。
- いつから始まったか、突然か徐々にか
- 風邪、発熱、のどの痛み、咳のあとに始まったか
- 声を多く使った、大声を出したなどのきっかけがあるか
- 一日中続くか、時間帯や声の使用量で変わるか
- 息苦しさ、むせ、飲み込みにくさ、首のしこり、血の混じった痰の有無
- 頭・首・胸の手術や、全身麻酔のための気管挿管を最近受けたか
- 喫煙歴、飲酒習慣、服用中の薬、これまでののどの病気
- 仕事、学業、歌唱など、日常でどの程度声を使うか
声がれに関係する主な状態
声がれは一つの病名ではなく、声帯の炎症、良性病変、動きの異常、悪性疾患など、さまざまな状態で起こります。次は代表例であり、症状だけで自己診断するための一覧ではありません。
急性喉頭炎
風邪などに伴って声帯が腫れると、声がかすれたり出しにくくなったりします。発熱、のどの痛み、咳を伴うことがあります。呼吸が苦しい、唾液も飲み込めないなどの症状がある場合は、単なる風邪と考えず救急案内に従ってください。
発熱やかぜ症状が主な場合の受診方法は、発熱外来もご確認ください。
声帯ポリープ・声帯結節など
声の使い過ぎ、炎症、喫煙などが関係し、声帯の縁に病変ができることがあります。声の変化だけで病変の種類は分からないため、声帯の状態と振動を確認して方針を考えます。
声帯麻痺(反回神経麻痺)
声帯の動きを支える神経の働きが低下すると、かすれ声、弱い声、むせなどが起こることがあります。原因は一つではなく、手術後、炎症、首や胸の病気などが関係する場合があります。必要な追加検査は声帯の動きと経過を確認して判断します。
喉頭・下咽頭などの悪性疾患
喉頭がんでは、できる場所によって声のかすれ、のどの違和感、飲み込むときの痛み、息苦しさ、血の混じった痰などが現れることがあります。声がれの多くが悪性疾患という意味ではありませんが、長引く場合や警戒する症状がある場合は、声帯と周囲を確認することが大切です。
胃酸逆流や機能性の発声障害など
胃酸の逆流、声の使い方、神経・筋肉の働きなどが声の変化に関係する場合もあります。ただし、声がれだけから逆流が原因と決めて薬を始めたり、すべてを声の使い方の問題と判断したりせず、まず喉頭の状態を確認します。
駒込駅前耳鼻咽喉科クリニックでの診療
駒込駅前耳鼻咽喉科クリニックでは、救急対応が必要な状態ではない声がれについて、耳鼻咽喉科専門医が診療します。症状の経過、声の使い方、呼吸・飲み込みの状態、首の所見等を確認し、診察結果に応じて必要な検査と紹介の要否を判断します。
1. 経過と伴う症状の確認
声が変わった時期、風邪や声の使い過ぎとの関係、呼吸・飲み込み・むせ、首のしこり、喫煙歴、手術・挿管歴、仕事等での声の使用状況を確認します。声がれの期間だけで原因を決めません。
2. 口・のど・首の診察
口やのど、首の状態を診察し、炎症、腫れ、しこりなどがないか確認します。症状と診察所見から、声帯を直接確認する必要性を判断します。
3. 声帯・喉頭の確認
院内には鼻咽頭ファイバーと喉頭ストロボスコピーを備えています。診察結果に応じて、声帯の形や動き、必要な場合は発声時の声帯振動を確認する検査をご案内します。すべての方に同じ検査を行うものではなく、当日の検査完了を保証するものでもありません。
4. 高次医療機関との連携
画像検査、病理検査、入院、手術、専門的な音声評価・治療など、院内で行えない対応が必要と判断した場合は、対応できる高次医療機関へおつなぎします。特定の検査や治療を院内で実施すると約束するものではありません。緊急性がある場合は救急医療機関での評価をご案内します。
診断前に薬だけで様子を見続けないことが大切です
声がれへの対応は原因によって異なります。炎症への対応、声の使い方の調整、禁煙、手術や専門的治療の検討などが必要になる場合がありますが、どの方法が適切かは声帯の状態を確認して判断します。
AAO-HNSの診療ガイドラインは、声がれに抗菌薬を一律に使うこと、喉頭を観察する前にステロイドを一律に使うこと、喉頭所見を確認せず声がれだけを根拠に胃酸を抑える薬を使うことを勧めていません。市販薬や処方薬だけで長く様子を見続けず、改善しない場合は耳鼻咽喉科へご相談ください。
考えられる主な疾患
急性喉頭炎
風邪などに伴って声帯が腫れ、声がかすれることがあります。
声帯ポリープ・声帯結節
声の使い過ぎや炎症等が関係し、声帯の縁に病変ができることがあります。
声帯麻痺(反回神経麻痺)
声帯の動きに左右差が生じ、声がれやむせが現れることがあります。
喉頭・下咽頭の悪性疾患
長引く声がれ、飲み込みにくさ、首のしこり、血の混じった痰等がある場合は確認が必要です。
胃食道逆流症・機能性発声障害など
喉頭の病変以外の要因が声の変化に関係する場合もあります。
よくあるご質問
Q. 声がれは何科を受診すればよいですか?
A. 声がかすれる、出しにくいなど、声そのものの変化は耳鼻咽喉科へご相談ください。声帯と喉頭の状態を確認します。息苦しさや呼吸時の異常な音、意識の変化がある場合は通常外来を待たず119番へ連絡してください。突然ろれつが回らない、顔や片側の手足が動かしにくい場合も119番です。
Q. 風邪のあと、声がれはどのくらい続いたら受診すべきですか?
A. 風邪の改善とともに声も戻る場合があります。ほかの警戒症状がなくても、4週間を目安に改善しない場合は耳鼻咽喉科で喉頭を確認してください。徐々に悪化する、首のしこり、血の混じった痰、飲み込みにくさ、手術・挿管後の変化等がある場合は、4週間を待たず早めにご相談ください。息苦しさや、強いのどの痛みに唾液も飲み込めない・よだれが出る・声がこもる症状を伴う場合は、通常外来を待たず119番へ連絡してください。呼吸が保たれ唾液は飲み込める場合でも、食事や水分をとれないほどの強いのどの痛みや急に悪化する飲み込みにくさがある場合は、当日中に医療機関を受診してください。
Q. 声がれではどのような検査をしますか?
A. 症状の経過、呼吸・飲み込みの状態、声の使い方、手術・挿管歴等を確認し、口・のど・首を診察します。診察結果に応じて、鼻咽頭ファイバーや喉頭ストロボスコピーを用いて、声帯の形・動き・振動を確認する検査をご案内します。すべての方に同じ検査を行うものではありません。
Q. 声がれが続くと、喉頭がんということですか?
A. 声がれは風邪、声の使い過ぎ、声帯ポリープ・結節、声帯麻痺等でも起こり、長引く声がれが必ず喉頭がんという意味ではありません。一方、喉頭がんの早い症状として声のかすれが現れる場合もあるため、長引くときや警戒する症状があるときは、自己判断せず声帯を確認することが大切です。
Q. 声がれのときは声を出さないほうがよいですか?
A. 大声や長時間の発声など、声帯へ負担をかける使い方は控えてください。ただし、必要な声の休め方や治療は原因によって異なります。ささやき声も負担になる場合があるため、無理に声を作らず、改善しない場合は診察を受けてください。